Connections テクノアルファ Webマガジン

Feb. 2015 Vol.14

Section04 コラム

旅行記 ~東北レストラン鉄道『TOHOKU EMOTION』~

八甲田山ロープウエー
八甲田山ロープウエー駅

今回の旅のメインは、三陸海岸を走るJR八戸線の豪華なレストラン列車『TOHOKU EMOTION』です。 八戸線は、青森県の八戸駅から岩手県の久慈駅までを結んでいます。 この列車は東北レストラン鉄道と呼ばれ、3両編成で、高級レストランの雰囲気に装飾された団体専用列車です。
朝9時8分のはやぶさ9号のグリーン車で一路、東京駅から新青森駅を目指して出発しました。 午後1時29分、定刻に新青森駅に到着すると、バスに乗り換え、八甲田連峰(通称、八甲田山)に向かいました。 時は11月末で、山はすでに冬支度が始まっていました。 道路の側面には雪対策用の赤と白に彩られた長さ2メートルほどのポールが立っています。 また、こちらの信号機は縦長ですが、それは雪の重みを考えて作られたものです。
八甲田山のロープウェー駅までの山中はブナ林でしたが、すでに葉は落ち、秋特有の黄色く色づいたブナ林は見ることができませんでした。 そのかわり、緑色の針葉樹のトドマツばかりが見えました。 山腹のところどころに積雪を見ながら、ロープウェー駅に到着。 定員101名のゴンドラで、山頂駅(標高1,324m)まで約10分かかりました。 山頂駅までの中腹には3,000mと5,000mの滑降用のスキー場があり、山頂ではトドマツの樹氷をいたる所で見ることができます。 この日の気温は0度、風速11mで、真冬並みの寒さでした。

昔、日露戦争が想定された明治35年1月23日のことですが、この地の陸軍第5連隊が雪中行軍で八甲田の山越えを目指し、210名の内199名が猛吹雪の中で死亡するという悲しい出来事がありました。 聞くところによれば、連隊が出発した朝6時の気温は零下6度でしたが、山道を進むに従い吹雪となりマイナス20度まで下がったそうです。 雪に慣れていない隊員たちは天候急変に対応できず倒れていったとのことです。 原因は連隊長の判断ミスであったといわれています。
この地方は緯度が高いので、山の高さが1,300mでも本州の他の山の3,000mに相当する寒さで、植物の種類も異なります。 八甲田の麓には雪深いことで有名な酸ヶ湯温泉がありますが、真冬では積雪が5mにもなります。 1日目の宿は古牧温泉でした。 ここの湯はアルカリ性単純泉でPh 9.16、肌をすべすべにするやさしい保湿性のある温泉です。 夕食は青森の食材をたっぷり使った彩り豊かな温かい食事でした。 津軽三味線やねぶた祭りの踊りを見せるショーもあり、堪能しました。

八戸線ローカル列車レストラン車両
八戸線ローカル列車
レストラン車両

翌日は、旅の本命の東北レストラン鉄道「TOHOKU EMOTION」に乗る日です。 小牧温泉旅館青森屋を8時半に出発しました。 この青森屋は、バブルがはじけた時、資金繰りに困り、民事再生下で星野リゾートに運営を託したおかげで、今は多くの旅人が訪れ、にぎわいを見せています。
旅館を出て八戸駅に向かう途中、三沢空港があります。 ここは米軍と、航空自衛隊、そして民間の航空会社が利用する日本でも珍しい空港です。 三沢空港のある南部地方はゴボウやニンニクの生産日本一です。 八甲田連峰を境にして日本海側が津軽地方、太平洋側が南部地方といわれています。 リンゴは、青森県の中では津軽地方で80%が生産されています。 この季節はすでにリンゴの収穫は終わっていましたが、まだ少し赤い実を付けた木を見ることができます。 これは「落ちない」という縁起を担ぐ意味で受験生に配られるそうです。 また、青森には青森ヒバというヒノキの一種が多く植えられていて、殺菌・抗菌作用があるため神社仏閣に使用されています。
バスの道中、三陸海岸線に蕪島(かぶじま)があり、人の株が上がるとか金運で株が上がるともいわれ、訪れる人が多いそうです。 そしてこの蕪島はウミネコの繁殖地で日本一といわれ、夏は海、空一面がウミネコでにぎわい、そのフン害もひどく、雨でもないのに傘をさす必要があるくらいです。 万一、ウミネコのフンに見舞われた人は蕪神社(かぶらじんじゃ)が証明書を発行してくれます(運がつくということでしょう)。

列車の歓迎風景
列車の歓迎風景

旅館を出てから二時間半ほどで八戸駅に到着、レストラン列車の1号車に乗りました。 この車両はすべて個室で、窓も大きく、ゆっくりできるスペースがあります。 東北レストラン鉄道「TOHOKU EMOTION」は2013年4月にできたばかりで、震災後の三陸海岸線でいち早く全線開通したことをお祝いして企画され、1日1往復の列車で、往きはランチ、帰りはデザートのサービス付です。 ランチメニューは前菜のサラダ、ホタテと豆のスープ、メインはフォアグラのサンドウィッチ、最後にスイーツとコーヒーのフルコースで大変おいしかったです。 海岸線を久慈駅に向かって走っていると、ところどころで、大きなのぼりや手書きの横断幕を持った地元の漁民や住民が列車に向かって「東北に来てくれてありがとう」、「復興の応援ありがとう」と精一杯旗や手を振ってくれて、涙が出るくらい感激しました。こちらからもナプキンを大きく振って応えましたが、何とも気持ちがいい一コマで、日本人の美意識の一端を見たようです。 久慈駅前には、以前は海沿いにあり震災で壊れた水族館が、一時避難先として開設されていました。 NHKの朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の舞台になった久慈駅周辺や記念館を見てから、ふたたび列車で八戸に戻りました。


奥入瀬渓流
奥入瀬渓流

3日目は奥入瀬渓流と十和田湖に向かいました。 旅館の人たちに見送られ朝8時に出発、バスの車窓からは、八甲田連峰が山頂に雪をいただいた雄姿を見ることができました。 天候は晴れで、車内はぽかぽか陽気で眠くなりました。 バスは十和田八幡平国立公園内を流れる奥入瀬渓流を下流から上流に向かって少しずつ登って行きます。 途中、当地のパトカーを見ましたが、ドアに白鳥の絵が描かれている大変珍しいものでした。 白鳥は青森の県鳥だそうです。 奥入瀬渓流はなだらかに70分の1の傾斜をもって、十和田湖を起点にして下流まで14km続いています。 このシーズンは稲作がなく、水の利用が少ないため、上流の水門で水量調整しています。
途中、バスを降りて渓流沿いに30分ほど歩きましたが、渓谷の左右に数多くの滝があり、それぞれに名前が付けられていて楽しめました。 奥入瀬の渓流沿いにはいろいろな木々が茂っており空気が非常においしいです。 渓流の源である十和田湖は火山の噴火でできたカルデラ湖で、2度の噴火を経験しています。 いちばん深いところで326メートル、また湧水のため水が澄んでいて、透明度が高いのも特徴です。 十和田湖畔の乙女の像近くを歩いていると50年前、大学の卒業記念でクラスメート約20名と担当教授とで来たことを思い出し、50年の歳月の長さをじっくりかみしめました。 宿泊した当時のホテルも健在でした。
十和田瑚を離れ、青森市内に戻ってからは自由行動でした。 3時間ほどあったので、貸切の観光タクシーで棟方志功記念館、青森県立美術館、三内丸山遺跡を巡り、新青森駅から、はやぶさ28号で東京へ向かいました。
こうして、東北地方の思い出がいっぱい詰まった2泊3日の旅は幕を閉じました。

松村勝正

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