プラズマ装置/プラズマ表面処理
プラズマ処理の適用分野

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表面洗浄

表面洗浄

肉眼では確認できない微細な汚れは、あらゆる表面に付着しています。以下の表面処理を高品質に仕上げるためには、こうした微細な汚れをしっかりと除去することが重要です。

接着|印刷|塗装|コーティング|エッチング

プラズマテクノロジーは、幅広い汚染物質や基材に対応した理想的な洗浄ソリューションを提供します。プラズマ洗浄によって、分子レベルの汚れまで分解・除去でき、次の工程での処理品質を向上させます。また、用途に応じて最適な洗浄プロセスを選べるため、効率的かつ環境に優しい表面処理が可能です。

プラズマ洗浄の独自の利点

プラズマ洗浄は、他の洗浄方法にはない多くの利点を備えています。

  • 複雑な形状も徹底洗浄 微細な亀裂や隙間、さらには中空部品の内部まで、すべての表面を1回の工程で洗浄します。
  • 高いクリーン性 真空抽出により、残留物のない分解生成物の除去が可能です。
  • 基材を傷つけない >溶剤を使用しないため、化学洗浄剤に敏感な表面にも安心です。
  • 分子レベルの除去能力 分子レベルの微細な汚染物質まで徹底的に除去します。
  • すぐに次の工程へ進行可能 溶剤の乾燥や排出を待つ必要がなく、効率的なプロセスです。
  • 安全で環境に優しい 危険・有害な洗浄剤の保管や廃棄が不要です。
  • 低コストなプロセス プロセスコストを抑え、コスト効率が高いのも魅力です。
プラズマクリーニングの仕組み

プラズマクリーニングは、プラズマ技術を活用した効果的な表面洗浄プロセスです。イオン化されたガスが汚れの粒子と化学反応を起こし、汚染物質を分解・除去します。

酸化銅の還元プロセス

酸化銅の還元には、水素ガスを含むプラズマを使用します。このプロセスでは、酸化銅を水素ガスプラズマにさらし、化学反応により酸化物を還元して蒸気として除去します。

表面改質

表面改質

良好な濡れ性は、塗装、接着、印刷などで、結合剤や塗料がしっかりと接着するために欠かせない条件です。しかし、表面が油脂で汚染されている場合だけでなく、清浄な状態でも材料の特性によっては十分に濡れないことがあります。そのため、液体が表面に付着せず、転がり落ちてしまうことがあります。
この現象の主な原因は、基材の表面エネルギーが低いことにあります。表面エネルギーが低い材料は、表面エネルギーが高い液体を十分に濡らすことができません。そのため、塗布する液体(接着剤や塗料など)の表面エネルギーが、基材の表面エネルギーよりも低くなければ、しっかりと接着できないのです。
プラズマ技術を活用することで、基材の表面エネルギーを向上させ、優れた濡れ性と接着性を実現することが可能です。

プラスチックの活性化

ポリプロピレンやPTFEのようなプラスチックは、もともと非極性構造を持つため、そのままでは印刷、塗装、接着が困難です。そのため、これらの素材にしっかりと付着させるためには、表面を活性化する前処理が必要です。ガラスやセラミックも同様に、活性化によって表面エネルギーを高め、液体が付着しやすくなります。

従来の方法とプラズマ活性化の違い

従来の活性化処理には、環境負荷が高い化学プライマーが用いられてきましたが、蒸発時間が必要だったり、作用が短時間であるなどの問題がありました。また、ポリオレフィンのような非極性プラスチックは、化学プライマーでは十分に活性化できません。

プラズマによる高効率な活性化

プラズマ処理による活性化では、空気や酸素のプラズマを利用して、非極性の水素結合を酸素結合に変化させ、液体が付着しやすい表面にします。さらに、低圧または大気圧プラズマ処理によって、POMやPE、PPなど「接着が難しい」プラスチックでも、優れた接着や塗装の特性を持つ表面が得られます。

効果と注意点

プラズマ処理による活性化効果は、数分から数ヶ月持続します。たとえば、ポリプロピレンは処理後数週間にわたり加工が可能です。ただし、処理後の部品はホコリや有機物が付着しやすいため、保管場所には注意が必要です。

活性化の効果を示すテスト

活性化の効果は、処理前後の部品を水に浸すことで確認できます。未処理の部品は水滴が表面に形成されますが、処理済みの部品は表面全体が均一に濡れ、水としっかり接触する様子が確認できます。

金属、セラミックス、ガラスの活性化

金属やセラミックス、ガラスはプラスチックと比べて表面エネルギーが高く、通常、良好な濡れ性を持っていますが、プラズマ活性化によりさらなる接着性の向上が可能です。特に、金属をプラズマ活性化すると、はんだ付け時の濡れ性が向上し、作業効率が向上します。
ただし、金属の活性化効果は非常に短期間しか持続しません。活性化後は、接着や塗装などの処理を数分から数時間以内に行う必要があります。金属活性化は、はんだ付けや接着などの工程の直前に実施することで、最大の効果が得られます。

プラズマ粉末活性化(例:UHMWPEパウダーの活性化)

UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)パウダーは、プラズマ活性化によって親水性を高め、多用途に活用される革新的な素材です。たとえば、ゴムの添加剤として使用することで引裂強度が向上し、また、金属やプラスチックとの接着強度も改善されます。この活性化は低圧プラズマ処理で行われ、粉末の粒子径に応じて処理時間が5分から数時間かかります。低温で処理するため、熱による損傷リスクがなく、粉末の溶融温度や基本的な物理特性にも影響しません。

用途
  • 潤滑ワニスなどの塗料添加剤
  • 種子やスパイスの殺菌・減菌
  • 処理済みPTFE粉末の添加による摺動摩擦の低減
  • PURフォームのプラスチックボックスへの接着性向上
  • 繊維やプラスチック顆粒の活性化・エッチング

エッチング

エッチング

プラズマエッチングは、プラズマプロセスにより材料を表面から除去する技術です。従来のエッチングは攻撃的な酸を使う湿式化学的手法でしたが、プラズマを用いた「ドライエッチング」は酸を使わずに材料を気化し、真空ポンプで除去します。このプロセスにより、マスクを使って部分的なエッチングも可能です。
プラズマエッチングは低圧プラズマ環境で行う必要があります。これは、エッチング効果を得るためにより長い処理時間が必要であり、また多くのエッチングガスが低圧下でのみ効果的に作用するためです。
プラズマエッチングはさまざまな分野で利用されており、用途に応じたプロセスガスやエッチングプロセスを選ぶことで最適な処理が可能です。

イオンエッチングは、物理エッチングとも呼ばれる手法で、表面に微細な構造を作り出し、接着性を高めるなどの効果があります。プロセスガスにはアルゴンなどの希ガスが用いられ、イオンが基材から原子や分子を叩き出すことで材料を除去します。このため、化学反応を伴わない非選択的なエッチングが可能で、ほとんどの基材に適用できます。

主な用途
  • 接着性向上のための微細構造化
  • 蒸着用スパッタリングプロセス

化学プラズマエッチングでは、分子ガスをラジカルに分解し、基材と化学反応させて材料を除去します。この手法は酸化膜の除去やフォトレジストの剥離、半導体の微細加工などに利用され、特に基材に応じたガスの選択が重要です。エッチング効果は等方的で、基材のどの面にも均一に作用します。

主な用途
  • 酸化膜やフォトレジストの除去
  • 半導体やPTFEのエッチング

反応性イオンエッチングは、イオンエッチングと化学エッチングの両方の効果を併せ持つ手法です。ラジカルとイオンが基材に衝突することで、化学反応が促進され、効率的に材料を除去できます。異方性も高く、特に半導体分野で活用されています

PTFEエッチング

PTFEは「接着不可能」とされてきたプラスチックですが、水素プラズマによる特殊なエッチングにより、接着可能な状態にできます。水素ラジカルがPTFEのフッ素原子と反応してフッ化水素を生成し、残された不飽和炭素構造により接着性が向上します。処理後、PTFE表面が茶色に変色することで、エッチングが行われたことが確認できます。

POM:プラズマ処理前(例)
POM:プラズマ処理前(例)
POM:プラズマ処理後(例)
POM:プラズマ処理後(例)
PTFE:プラズマ処理前(例)
PTFE:プラズマ処理前(例)
PTFE:プラズマ処理後(例)
PTFE:プラズマ処理後(例)

コーティング

コーティング

プラズマ技術を用いることで、部品に多様な特性を持つコーティングを施し、強化することが可能です。コーティングには気体や液体の素材を使用し、プラズマ中で短鎖モノマーが架橋して長鎖ポリマーを形成します。このため、選ぶ素材によって、コーティングが持つ特性を細かくカスタマイズできます。

主なコーティング特性
  • 撥水性(疎水コート)/親水性(湿潤性を高めるコート)
  • 傷防止、腐食防止
  • バリアコート(防湿・防水、拡散バリアーとして)
  • 摩擦防止、ノンスティックコート
  • カーボンコート、PTFEライクコート
  • 密着促進剤(プライマー効果)
  • 蒸気バリアー、金属化コート、ナノシルバー
プラズマコーティングの利点
  • 多様なコーティングバリエーションが可能
  • 温度上昇なし:低温処理で熱ダメージの心配が不要
  • 無溶剤プロセス:環境にやさしい溶剤不要の工程
  • 優れた浸透性:隙間や細部まで均一にコーティング
  • バルク材にも対応:バラ物や大量生産にも最適

低圧プラズマを利用したコーティングでは、気体または液体のモノマーを導入し、プラズマの影響下で重合を行います。このプロセスによって得られるコーティングの厚さは約1マイクロメートルであり、表面への密着性は非常に高いのが特徴です。
この技術は、活性化や脱脂プロセスよりもはるかに複雑であり、さまざまな用途に利用されています。具体的な例としては、燃料タンクのバリアコート、ヘッドライトやCDの耐傷性コート、PTFEライクコート、疎水性コートなどがあります。

工業規模で確立されたコーティングプロセス
疎水性コート

モノマー:ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)など

PTFEライクコート

モノマー:フッ素系プロセスガス

親水性コート

モノマー:酢酸ビニル、ヘキサメチルジシロキサンと酸素を所定の比率で混合(酸素よりもHMDSOがかなり多い)

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