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アルミ線ワイヤボンディング技術
第2回 アルミワイヤボンディング基礎技術と装置の変遷

第一世代 M20
第一世代 M20

第2回目では、アルミワイヤボンディング装置に関する変遷とボンドの基礎技術について説明します。
アルミワイヤボンディング技術はすでに数十年の歴史があり、今日ではメカ的な性能が格段向上したことから、ハイスピード、ハイクオリティーなボンディングを実現できるまでに進歩しています。 同時に現在、環境に配慮した白物家電、または電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PIHV)などの需要が増大し、その中で使用されるインバータなどのモジュール内部に搭載されているチップ間接合にはアルミワイヤボンディングが欠かせない技術となっています。 今後小型化と同時に高性能化が進むにつれ、更に複雑なボンディング技術が必要とされると考えられます。 しかし、基礎的なボンド技術は大きく変わっておらず、パワーデバイスなどは、自動車に搭載される部品に多用されていることから、今後その品質を保証する付帯技術の進歩にも期待が寄せられています。


第二世代 M40
第二世代 M40

このように、最新の家電または自動車の構成部品の組立に必要不可欠なアルミワイヤボンディング装置ですが、その歴史は古く、今から約40年前の1975年に発売された手動のOrthodyne Electronics製M20A、また1982年に発売した全自動のM40では、まだ一定の方向にしかボンドをすることができず、装置調整に時間がかかり、設計的なワイヤリング構成も限られたものでした。 しかし、技術の進歩により、その後継機種である1986年に発売されたM360Aシリーズでは、当時では画期的なロータリーヘッドが採用され、自動で全方向にワイヤリングが可能となり、1990年に発売されたM360Bではヘッドクリアランスが格段に向上しました。 それにより、デバイスの設計的な制約が格段に向上し、その後世界的に大ヒットした1993年発売のM360CシリーズではUPHも改善され、アルミワイヤボンドが国内でも多用されるようになりました。 現在ではロータリーヘッドは一般的となり、2013年4月に発売された最新の装置では、典型的なTO220系のリードフレームで1ワイヤ(125ミクロン)のボンディングでUPH=4351と、40年前から考えると驚異的なスピードと言えます。

第三世代 M360A
第三世代 M360A

第五世代 M360C
第五世代 M360C

第四世代 M360B
第四世代 M360B

第六世代 7200
第六世代 7200

ボンド技術に関しては、時間、荷重、超音波パワーの3つのファクターで制御する基本的技術は40年前と変化はありませんが、その制御するハード面、また詳細なパラメータ設定が可能になったことから、格段に高品質なボンディングが実現されています。 マニュアル装置や古い装置では、その3つのファクターの組み合わせが一通りでしたが、現在では多段階に変更でき、またトランスジューサーの周波数も60KHzと80kHzの2種類を選択でき、ボンドヘッドといわれる発振装置部分を取り換えることにより、容易に変更が可能です。 しかしながら、高い温度をかけて接合対象物を活性化させてボンドするボールボンディングと違い、常温でボンドするアルミワイヤボンディングは、定量的なパラメータだけでは制御できない外部要因が多く、職人的なセッティングを必要とするアプリケーションも多数存在するのも事実です。 特に前述で述べた、自動車関連のパワーデバイス内の接合技術は難易度が高く、今後更なる高性能化に伴い、ボンディング技術も複雑化してくると考えられます。 そのため、当社では高度な専門知識と、技術を持ったスタッフが多数おり、日々研究と実績を重ね、難易度の高いアプリケーションに対しても対応できる体制を整えております。

半導体装置グループ I



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