Section02 製品紹介②
日陰の名脇役 ボンドテスター
当社の主力製品は、アルミワイヤや金ワイヤを接合し導通させるための装置『ワイヤボンダー』ですが、その一方で、その接合したワイヤを破壊するという、あたかもマッチポンプのような装置も販売しております。 その名は『ボンドテスター』です。
破壊するといっても、もちろん破壊することが目的ではなく、破壊する際の破断強度(丈夫さ)や壊れ方(接合の状態)を測定・確認することがこの装置の役目です。 ボンディングワイヤの場合、ワイヤを釣り針のようなフックで引掛けて切断するプルテスト(引張強度テスト)、ノミのような部品で横から押すシェアテスト(せん断強度テスト)が実施されます。 釣り針やノミという身近な道具で説明させて頂きましたが、最も一般的な金ワイヤの線径は25ミクロン(平均的な頭髪の径は80~90ミクロン=0.08~0.09mm)ですので、よく目を凝らして観察しないと道具でさえただの針に見えてしまうでしょう。
金ワイヤのプルテスト
金ワイヤのシェアテスト
この装置が使用されるシーンは主に2つあり、まずは製品の開発段階です。
新製品開発では、製品の性能向上・小型化・低コスト化のため、新しい材料の採用、使用するワイヤの材質・径の変更などにより、ワイヤボンダーがワイヤを接合するための条件を変更しなければなりません。
一般的な生活の中でも、例えば接着剤の場合、木工用、プラスチック用、布用など、接着したいものの材質によって接着剤を使い分ける必要があります。
ワイヤボンディングの場合、ここまで極端に材質が変わることはありませんが、同じ系統の金属であってもその組成が異なるだけで接合性が低下することがありますので、ワイヤボンダーの装置設定における条件出しは避けることができません。
次に必要とされるのが、量産時の品質管理です。
残念ながら、モノづくりの際に不良品の発生を完全に防ぐことはできません。
そこで、始業時や定期的な抜き取り検査により製品の品質を確認することで、不良品発見や不良発生の予兆を事前に捉えることが、市場に出荷される製品の不良発生率の低下に大変重要な役割を果たします。
最近の電子機器はスマートフォンを筆頭に買い替えサイクルが短縮化し、以前ほど製品の信頼性は要求されなくなったように感じがちですが、日常生活の中での重要性が増し、また以前では考えられなかったシーンでも普通に使われるようになったことで、これまで以上に高い信頼性が求められております。 低価格・コモディティ化が進んだ電子部品の世界においても、日本の電子機器・電子部品メーカーが品質・信頼性で高いシェアを確保しています。 そうした高い信頼性を支える控えめな脇役として、ボンドテスターが微力ながら貢献しております。
従来、ボンドテスターという装置では、作業者が顕微鏡で測定対象物を観察しながら、あたかもゲームセンターのクレーンゲームように、ジョイスティックで位置合わせを行うマニュアル操作による測定が常識でしたが、このボンドテスターの世界にも自動化の波が押し寄せつつあります。 当社で取り扱っているオランダのXYZTEC(ザイズテック)社は業界でも自動化に最も積極的に取り組んでいるメーカーであり、後発メーカーながらも着実にシェアを拡大しつつあります。 オランダ製の装置は少々珍しいと思われるかもしれませんが、半導体ウェハを製造する工程に使用される装置の最大手メーカーはオランダに本部を構えています。 またXYZTEC社の本社はドイツ国境に近いこともあり、オランダ語・ドイツ語・英語の3か国語を堪能に使いこなす社員も多く、最新技術を取り入れる際のハードルも低く、その地の利を生かしているようです。 (2年前にタイにオフィスが開設されて以来、営業会議の開催場所がオランダからタイに移動してしまったことが個人的には残念ですが・・・・)
以上
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