VPSリフロー装置 VPSについて

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VPSについて

気相リフローが必要な理由

SMD実装において、課題となっているのが基板毎のプロファイル調整によるセットアップ時間のロスや生産のボトルネックなどがあげられます。そこで、製品ごとの一定のプロファイリングを必要としないSMDリフローシステムが有利となるのです。
こういった面で注目されるのが気相リフロー装置、つまりVPSリフロー装置なのです。

対流リフロープロファイル

一般的にはリフローには対流式のリフローが用いられており、各基板に固有のリフロープロファイルが設定されています。その理由の一つとして、基板や実装されるコンポーネントの「熱質量」、「色」「材質」などの違いにより基板上のコンポーネントごとの熱分布が変わります。
そのために、オーブン内の熱風から熱が伝導される速度を変更する必要があります。プロファイリング時には、テストPCBアセンブリに熱電対を取り付けた各基板専用のテストボードを用いて対流式オーブンで温度上昇を監視します。これには非常に時間がかかり、場合によっては過昇温などによりテストボードが破損するリスクがあります。

VPSリフロープロファイル

コンベアベルトを通過するPCBに熱を加えるために熱風を使用する対流リフロー装置とは異なり、VPSは液体を沸騰させることによって生成される蒸気層からの凝縮潜熱を使用します。このプロセスによって、高い熱伝達を提供し、異なる熱質量のコンポーネント間で温度差がほとんど発生しないようになります。

VPSリフローの歴史

VPSリフローは現在主流の対流式リフロー装置が出る以前、長い間使用されてきました。初期の装置は、プロセスで多くの気相熱媒体の損失や、フロンを使用していたことから環境にも周りの人たちにも影響を与える原因となっていました。また、利用可能な温度プロファイルが限られていました。リフロープロファイルは、使用される気相流体媒体とタンク内に滞留する時間によってのみ制限されていました。プロセス全体の処理は通常手動で行われ、PCBアセンブリの小さなバッチしか処理できませんでした。
しかし、最新のVPSリフロー装置は完全に密閉されており、蒸気媒体をほとんど外部に排出する事なく回収します。処理は自動化され、温度プロファイルを正確に監視および制御できます。その結果、特に欧州の多くの電子機器メーカーでは現在、シンプルで効果的なプロセスに着目してVPSリフローはんだ付け方法を利用しています。

※日本のメーカー例:株式会社相信様

VPSによるはんだ付け

SMDプリント回路基板アセンブリのリフローはんだ付けは、はんだペーストを溶かすためにいくらかの熱を加えるだけなので、簡単に見えるかもしれません。しかし、それだけではありません。良好なはんだ接合を得るには、すべてのはんだを完全に溶かす必要があります。さらに、PCBパッドとコンポーネント自体もはんだペーストの融点を超える温度に達することが不可欠です。基板上の温度差が発生した場合には接合不良が発生します。これは、コンポーネントを過熱せずに実行する必要があります。VPSでは、放射、強制対流ガス、またははんだごてからの熱伝導ではなく、凝縮蒸気によって伝達されます。
対流式リフロー装置では、搬送時に先頭部分から加熱(冷却)されることにより基板上の熱分布が偏ることによる基板の反りなどが発生します。
VPSリフロー装置では、基板全体が凝縮蒸気によって同時に加熱されることから反りの心配がありません。また、必要に応じて規正治具なども同時に加熱する事が可能です。

VPSリフロー装置の動作原理

VPSリフロー装置は次のように機能します。スイッチを入れると、リフロー温度の熱媒は、液体タンクの底部では室温で液体になります。ヒーターは、熱媒の沸点、例えば235℃の典型的な鉛フリーはんだペーストのリフロー温度で液体を沸騰させます。ヒーターによって制御しているわけではありません。熱媒は、はんだペーストを溶融するのに最適な温度が得られるよう、この沸点を持つように特別に設計されています。液体が沸騰すると、熱をプリント回路基板アセンブリに伝達するために使用される蒸気の厚い層が作成されます。蒸気は空気よりも密度が高く、すべての酸素を置換し、窒素と同じように不活性層を形成します。蒸気はプリント回路基板アセンブリが投入されるとその冷たさで凝縮し、蒸気と同じ温度になるまで回路基板全体を加熱します。しかし、プリント回路基板アセンブリが過熱する事はありません。
VPSリフロー装置は対流装置よりも小さく、プリント回路基板アセンブリの物理的な高さは、蒸気層内に固定されるように調整されます。温度の変化率は、プリント回路基板アセンブリを蒸気内で上下させることで制御され、リフローされたプリント回路基板アセンブリのプロファイルが記録されます。動作はすべて制御された速度で加熱および冷却されます。

この方法のメリットは何ですか?

気相リフローは、SMDプリント回路基板アセンブリに最適な方法です。プロセスウィンドウは対流式リフロー装置の場合よりもはるかに広くコンポーネントが過加熱するリスクはありません。多品種少量の多くの種類のアセンブリをリフローする場合においても、低質量および高質量のボードで100%の再現性を提供します。

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